第29回(8/1) 〜夏の夜 1〜   毎週月曜更新

なみ「はあ〜今日も暑いね・・・はあ〜体がとろけそう・・・。」
アキラ「ホンマ暑いな〜。この暑さは異常やで・・。ホラおさむもっと扇いでくれよ。ジャンケンに負けたやろ。」
おさむ「はいはい・・・。でも誰が扇風機壊したか知ってる・・・?」
アキラ「・・・・・・・・・・・・・。それにしても暑いな〜。どっか涼しいとこでも行こか〜。」
なみ「プールとかいいんじゃない?なみ割引券を今日スーパーでもらったよ。」
おさむ「うん、いいね〜。でも、もう6時だよ・・。」
なみ「今日は無理ね・・・。あ〜さらに暑くなってきちゃった・・・。でも、日が暮れる間でのがまんがまん・・・。はあ〜・・。」
アキラ「涼しいところか〜・・・ほなあそこに行くか・・・。」
なみ「きゃ〜行こう行こう!きゃ〜!」
アキラ「どこか知っとんか・・・?」
なみ「知らないけど、この際ここ以外ならどこでもいいよ。ねえ、おさむ〜。」
おさむ「・・・僕はすごく嫌な予感がするんだけど・・・でも、きっとこの予感はただしいと思う・・・。」
なみ「え、どこどこ・・・・?」
アキラ「ふふふふふ・・・夏の夜と言えば・・・?」
なみ「花火〜。ああ、花火見たいね〜。」
アキラ「ちゃうな〜。」
なみ「スイカ・・・・・?う〜ん、浴衣美人・・?わかった、ええっと、ええっと・・。やっぱりわかんない・・・。」
アキラ「カエル塚や・・・。」
おさむ「やっぱり・・・。」
なみ「カエル塚・・・・。なみ知らな〜い。」
アキラ「知らんのか・・・・そうか・・・ほな説明せなあかんな・・・・。」
おさむ「ちょっと僕用事思い出したから失礼・・・。」
アキラ「お〜い、まあおらんかい・・・。」
なみ「どうしたの、おさむ・・?なんか顔色悪いわよ・・。」
おさむ「うん・・・ちょっと・・・。」
アキラ「ヒヒヒヒヒ・・・おさむホンマ恐がりやな・・・。カエル塚ゆんはな、この辺じゃ有名な心霊スポットなんや・・・・。」
なみ「心霊・・・・きゃーー!行きたくなーい!きゃーーー!」
アキラ「もう手遅れや・・・さっき行くゆうたやろ・・。まあまあ、ちょっと話し聞かんかい・・・これは昔からカエル塚に伝わる話や・・・・。」(つづく)

第30回(8/7) 〜夏の夜 2〜   毎週月曜更新

なみ「きゃ〜聞きたくないけどちょっと聞きたいかも・・・。」
アキラ「後悔するなよ・・・・フフフフフフ・・・。」
おさむ「なみちゃんやめたほうがいいよ・・。」
なみ「う〜ん・・・。」
アキラ「まあええがな・・そんな怖ないって。話は、10年ほど前のことや・・・ホンマに中のええ3人組がおって、男2で女1。まあ、よくあるパターンや。3匹はずっと仲良かったけど、やっぱりどうしても男と女や。一匹の男と女が友達以上思ってもうたんやな・・・。もう一匹の男はまあふられたんやないんやけど、そんなもんや・・・。」
なみ「でも、それが自然かな・・・。なみたちはそんなのじゃなくてよかったね。」
アキラ「そうやな。でや・・3匹で遊んでも昔と違ってぎこちなくなって・・・。徐々に、その2匹だけで会うようになってな・・・。まあ、そのはみった男も一応男や。ここは身を引こう思うて、他の女の子とつき合ってみたりとか、コンパに行ってみたりとかしたけど、やっぱり忘れられんかったんやろな・・。あかんと思いつつ電話してみたりとか、ちょっと困らせるようなことをしてみたりとか・・・。」
なみ「ふ〜ん、その子の気持ちわからなくでも、やっぱり男ならね・・・。」
アキラ「ふむ・・・。それでや、ちょっとそいつ陰気なところがあってやな・・ある日たまたま公園通りかかったらや・・・そいつらがキスしてるんを見てもやんや・・・。悲しいな・・。それでや、まあ普通は悲しむか、ちょっと涙流すかもしらん・・。でも、そいつはなんと血の涙を流したらしいんや・・・・・・・。」
なみ「きゃー!本当に・・・本当の話?」
アキラ「ホンマの話や・・・・。それから、そいつ学校にこんようになったし、誰もみかけんようになったんや・・・。一人暮らししてたし、親ともそんなに連絡とってなかったみたいやし・・・。ホンデや、心配した連れが何回も訪れたけど返事ないし・・・なんやかんやしてるうちに3週間くらいたったんかな・・・突然その女のところに電話が来て、ちょっと”カエル塚”まで来てくれへんかって・・・。女はもう一人の男を誘ったけど、ちょうどなんか用事があって行けんくて・・・。結局一匹でそこまでいったんや・・・。よるの9時くらいかな・・・辺りは真っ暗・・・。」
なみ「きゃー!もういいもういい!きゃー!」
アキラ「あっそうほな終わりや・・・」
なみ「え〜だめだめ・・・やっぱり聞きたい・・・。」
アキラ「フフフフフ・・・わかっとるわかっとる。ええっと・・・そうそう・・久しぶりに会ってやな、ちょっとぎこちなかったけど、まあいままで仲良かったわけやし、ものの5分ほどで普通にしゃべるようになって・・・。この3週間何しとったかとか聞いたり・・。訳は、ただふと一人旅に出たくなったと・・。あとはほんまたわいもない話しをしたりして・・・。話は尽きることなかったけど、女が明日も朝早いからそろそろ帰るね・・・ってゆうて帰ろうとした瞬間・・・。」
なみ「ゴク・・・。」
アキラ「血がポタポタと・・・・。」
なみ「エッ!」
アキラ「ただ、男は必死にその場から逃げたんや・・・。途中どこ走ったかわからんけど、家に着いたら服にはびっしょりと・・・・。」
なみ「きゃーー!きゃーー!」
アキラ「ほんでや玄関の鍵をした瞬間・・・・プルルルルって電話が・・・。」(つづく)

第31回(8/14) 〜夏の夜 3〜   毎週月曜更新

アキラ「プルルルルル・・・・プルルルルルルル・・・そんで、3回目のコールで電話をとったんや・・・・・そしたら・・・・・。」
なみ「そしたら・・・・ゴクッ・・・・」
アキラ「もう一人の男からやったんや・・・・。そいつ、何も言わんと、たった一言だけ”あいつを幸せにしてやれよ・・・”って・・・。当然意味わからんわな・・・電話はそれで切れた・・・・。頭は呆然・・・ついさっき自分の手で、好きな子を手に掛けたんやからな・・・・。」
なみ「・・・・・・・。ねえ・・・・幸せにしてってどいういうこと・・・・?」
アキラ「まあ、まあ、そんなにあせるなや・・・・。当然意味わからんから、すぐさま電話をかけなおしたんや・・・・・。30分くらい話したんかな・・・・・電話を切るとすぐさまカエル塚に走り出したんや・・・・すごい形相で・・・。その電話の話っていうのがまた悲しい話でな・・・・。まず、その女すごい優しくて素直な奴で・・・・・もう一人の男が、こいつのウソ話を作っては話し作っては話し、まあ、気を引こうと必死やったんやろな・・・途中、女も気持ちは傾いたんやけど、うそっていうんは当然ばれるようになっとる・・・。徐々に女もおかしいな・・・って気づいて・・・ついにその女、そいつを信じられんくなって、もう一人の方に気持ちも移ってきたんや・・・・。前に公園でキスしてたっていう話ししたやろ・・・あれは男が強引に奪ったらしんや・・・・。」
なみ「え!?じゃあ、女の子はもう一人の子を好きになってたの?」
アキラ「それは、ようわかってないけど、気持ちはあったんは確かやな・・・。そんで、男がカエル塚に着いて、しゃべってたところに行ったんや・・・・。おそるおそる、その場所に近寄ってみると・・・なんと・・・」
なみ「なんと・・・・・・」
アキラ「見事になにもなくなっとたんや・・・・。もちろん、誰かが助けて病院に連れていってくれたっていう可能性もあるけど、すくなくとも血のあとが残っとるはずなんや・・・。それがものの見事になんもなくなっとる・・・。そいつは落ち着け・・って自分に言い聞かせて、もう一度ゆっくり自分がしたことを考えたんや・・・。でも、考えれば考えるほど絶対おかしいって確信し始めて・・・もう何がなんやらわからんようになった男は警察に行こう・・・って決心し・・・ふと頭を上げた瞬間・・・・」
なみ「きゃー!もういいもういい!きゃー!」
アキラ「頭を上げた瞬間・・・・女が立っとたんや・・・。」
なみ「きゃーーー!!!」
アキラ「女は悲しげな顔で、ただじっと男を見つめてて・・・男はもう失神寸前・・・それでも、必死にあやまったんや・・・何度も何度も・・・・。何百回謝ったかわからへんけど、最後にお前を好きだったから・・・って・・・。その言葉を聞いた瞬間女の顔は、ちょっぴり笑顔で・・・・一緒に行こ・・って・・。女のさしのべる手に、男はおそるおそる手を出したんや・・・・・・・」
なみ「ゴク・・・。」
アキラ「ワッ!!!」
なみ「キャーーー!!!ワアーーン!!」
アキラ「アハハハハハハ!!どうや、怖かったか?」
なみ「きゃーー!きゃーー!!もう!きゃーー!!」
アキラ「ククククッ!!アハハハハハ!!」
なみ「もう、アキラ嫌い!グスン・・・・・でも、それで・・・グスン・・」
アキラ「それで、結局その2人は見つからずじまい・・・それがや、何年か前の今日なんやな・・・・・。今日カエル塚に行ったらかなり高い確率で、若い男と女の楽しげな笑い声が聞こえるらしいわ・・・・・・。これはこの辺ではかなり有名な話しやで・・。フフフフフフ・・よっしゃ!行こか!・・・・・あれ?なみ?おさむ?・・・やれやれ・・・風呂に入ってスイカでも食べるかな・・・。」(つづく)

戻る