第52回(1/29) 〜節分〜   毎週月曜更新

おさむ「時間が経つのって早いね〜。もう1月が終わっちゃった・・・。”少年老いやすく学成りがたし”、”光陰矢のごとし”、”人生朝露のごとく”・・。昔の人は良く言ったものだね・・・はあ〜・・・・。このまま歳老いていっちゃうんだろうか・・・。」
アキラ「まあまあ、若いもんがそんな悲観的になるなって。1月はいぬ、2月は逃げる、3月はさる、4月はカエルっていうやろ。この時期はいつもより早く時間が過ぎるんや・・・知っとったか?冬は1日が23.5時間しかないんや・・・。」
おさむ「ええ!!そうなの!!」
なみ「ウソに決まってるでしょう!それと4月のカエルってなによ!そんなの勝手に作らないでよね!」
アキラ「おお、なみ助か〜。いや、あまりに退屈やったから・・・。」
おさむ「あ、おかえり〜なみちゃん。外はどうだった?」
なみ「もう、超〜寒かったわよ。今小雪がちらついてるよ。でも、商店街はとっても賑やかでさ・・・鬼のお面かぶった人やら豆をまいている人やらで楽しかったよ。」
おさむ「そっか・・・今日は節分だもんね。小さい頃よくやったな〜・・鬼はー外♪福はー内〜♪ってね。」
なみ「だから・・・ジャ〜ン!今日はお豆さんと巻きずしを買って来ました!巻きずしをその年の恵方(えほう)に向かって一気に食べるんだよね。ちなみに今年は西南西。じゃあ、福が来るんだよ。でも、他の方角を向いて食べると、呪われるんだよ〜。きゃー怖い!」
アキラ「おいおい、なに訳のわからん事ゆっとるんや!今年は北北東向いて食べるって聞いたぞ!なあ、おさむ!」
おさむ「え・・・僕は、確か・・・北北東だったかな・・・いや、今年は西南西だったような気がするんだけど・・・。長い間食べてないからよくわからないや・・・。」
アキラ「おいおい、日本の風習くらい知っとれよ。まあ、おいらに従っとったら間違いない。」
なみ「もう、何言ってるの。なみは子供の頃からずっと食べてるから知ってるの。じゃあ聞くけど、毎年節分には巻きずし食べてるの?」
アキラ「うっ・・・いや・・・食べてないけど、知っとるもんは知っとるんや!己を信じる!」
なみ「あら、そう・・。じゃあ、仕方ないわね。じゃあ、どっちでも向いて食べれば?」
アキラ「ふん!望むところよ。明日インターネットで調べたるわ!泣きを見るのなよ!泣きを!ムシャムシャムシャ!上手い!」
おさむ「ぼ、僕はなみちゃんに従おうかな・・・・・。」
・・・次の日・・・
おさむ「おはよー今日もいい天気だね・・・・。」
なみ「おさむ、おはよー。アキラまだ寝てるの?もう、いつも遅刻なんだから!」
アキラ「お・・は・・・よ・・・・・」
なみ「まあ!!どうしたの、その格好!ゲッソリとしてるじゃない・・・かぜでも引いたの?今日はお仕事いいからゆっくり休んでなよ・・・。」
アキラ「ちゃう・・・ちゃう・・・。昨夜寝てたらな・・・急に金縛りに合って・・・・体は動かんけど、意識はハッキリしとるんや。ほんなら、すごい殺気がするんで、その方を見てみると白いぼや〜っとしたもんが立っとるんや。なんや角みたいなんが生えとった気がする・・・。」
なみ「もう・・・やめてよ、朝から・・。」
アキラ「で、それがゆ〜っくり近づいてきてな・・・おいらの体の上に乗ってくるんや・・・。ぎゅーって体重かけられて・・・すごい苦しなってきて、ハッと目が覚めるんや・・・。それがゆうべは何回も何回も起こって・・・・こんなん今までなかったのに・・・なんで急に・・・。」
なみ「ほら!昨日なみが言ったでしょ!変な方角向いて巻きずしを食べるからよ。きっと何かに取り憑かれたのよ・・・。なみの言うことをちゃんと聞いてればよかったのに・・・ねぇ〜おさむ〜。」
アキラ「あ、そ、そうなんか!!ごめんなさい!!なみ様!!もう一生逆らいません!!ごめんなさい!!」
なみ「・・・なみに謝られてもね・・・。じゃあ、昨日の巻きずし1本残ってるからそれを食べてみる?今度は西南西を向いて・・・。」
アキラ「はい!食べさせていただきます!!・・・今日は節分、今日は節分、今日は節分・・・ムシャムシャムシャ!」
なみ「おさむ!今よ!アキラに向かって豆を投げつけて!!」
おさむ「はい!天誅!!」
アキラ「痛い痛い痛い!!」
・・・ダン!ダン!ダン!・・・
おさむ「うわ〜!2階で変な音がした!」
なみ「ふう〜もう大丈夫・・・悪い鬼が出ていったのよ・・・。さぁ、今日も1日がんばるぞ〜・・ね、アキラくん。」
アキラ「はい!がんばりましょう、なみ様!急に元気がわいてきたぞ〜!!」
おさむ「な、なんか、なみちゃんがたくましく見える・・・気のせいだろうか・・・。」(つづく)

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