第53回(2/5) 〜赤いチョコレート 前編〜   毎週月曜更新

アキラ「も〜いくつ寝ると〜♪バ〜レンタイン〜♪バレンタインには箱開けてー♪チョコをたくさん食べましょう〜♪は〜やく来い来いバレンタイン♪ジャン!」
おさむ「ハイハイ・・・」
アキラ「お、なんかチョコのええ臭いがしょるな・・・。」
おさむ「うん、今なみちゃんがいつものようにチョコを作ってるんだ。」
アキラ「おお、そうか。なみ蔵のチョコは超〜上手いからな。でも、毎年実験台に使うんはやめて欲しいけど・・・。ちょっと見てこ。」
・・・ダダダダダ・・・
アキラ「うお!なんやこの本の多さは!」
なみ「あら、アキラ・・。今年はちょっといつもと趣向を変えたチョコレートを作ってるんだ。名付けて”赤のチョコレート”。」
アキラ「なんや、気色悪いな・・・。」
なみ「あら、そう?でも、この本によると好きな人のことを真剣に思って作っていると、チョコの神様がやってきて、最後の調味料を入れてくれるの。赤っていうのはその神様が来てくれるための目印らしいよ。」
アキラ「ほお〜ん・・・チョコの神様ね・・ケッくだらん。まあ、バレンタイン時なんて儲け時やからいろいろ考えるわな〜。しかし、誰や?この雑誌の記者・・・怪しいやっちゃ。」
なみ「もう!忙しいんだからあっちに行っててよ!また、必要になったら呼ぶから!ブツブツブツ・・・」
アキラ「ヘイヘイ・・・」
・・・ダダダダダ・・・
アキラ「あれ?おさむがおらん。さては、バレンタインの話題になるんが嫌やったから逃げたな。しゃーないな・・あいつはいっつももらえんし・・・。・・・・。あ〜それにしても暇やな・・・・テレビでも見るか・・・」
”おい”
アキラ「なんや、おさむ。おったんか?どこや?」
”こっちじゃこっちじゃ。”
アキラ「・・・・うお!クマのぬいぐるみがしゃべっとる!ま、また前回に引き続き霊現象かいな・・・南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・。」
”悪霊と違うぞい。わしはチョコの神様じゃ!危害は0。”
アキラ「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・・うん?チョコの神様・・・。どっかで聞いたセリフやな・・・。あ、そういえばさっき、なみがそんなことゆっとったな・・・。まじで・・・?」
”本当じゃ。今はクマのぬいぐるみを借りとるだけじゃ。”
アキラ「あ、そう。ふ〜ん・・世の中不思議なことも起こるもんやな〜。まあ、ゆっくりしていき。で、なんの用?」
”お、もう信じたんか・・・?まあ、よかろ・・・。なぁに、もうすぐバレンタインじゃろ。じゃから、チョコを作ってる女の子に最後の調味料をもって来たんじゃ。名付けて「最後の調味料!」”
アキラ「・・・・。そのままやな・・・・。で、それ入れたらなんかなるん?も、もしかして、絶対告白が成功するとか!?」
”まぁ、そんなところじゃ。でも、絶対じゃないんじゃ。その子の想いが大きければ大きいほどその効果は大きくなるんじゃ。”
アキラ「ふ〜ん・・・それって、赤のチョコレートしかあかんの?」
”プッ・・・お主も上手いシャレを言うの。赤はあかんか・・座布団一枚!」
アキラ「・・・・・」
”いや何色でもOK!赤は想いの色なんじゃ。じゃから、上から見てて赤いところにこうやって来るんじゃ。”
アキラ「ほ〜ん・・・ちゅうことは、なみは一生懸命愛情を込めて作っとるわけじゃな・・・あかん口癖が移ってもうた。」
”その通りじゃ!ええ飲み込みしてるな。で、これが判定する鏡。ほれ、見てみ。”
アキラ「うお、なみが映っとる。その周りに、赤い風船が1つと黄色い風船が2つ、あとちっちゃい青い風船が多数・・・なんやこれ?」
”赤は愛してる人、黄色は大親友、青は友達に対する感情じゃ。”
アキラ「ほお、すごいもんやな!おもろーー!!ちょっと貸して貸して!!」
”お、おい、それ高いんじゃ。まだ、ローンも残ってるんじゃ!”
アキラ「まあ、固いこと言うなって・・・・。お、この子かわいいな・・・。うん?赤い風船がひ、ふ、み、よ・・5つもあるでー!なんやこれ!?」
”これはいわゆる五股じゃな。こういう輩には黒の調味料を入れに行くんじゃ。”
アキラ「ほ〜ん・・・いろいろあんたも忙しいな・・・・お、”あい”(注:アキラの彼女)や。今年もおいらのために作っとるな。結構結構・・・うん?・・・ゲゲゲゲゲ・・・赤い大きい風船が2つも映っとる・・・どういうこっちゃ・・・。おい!!・・・・あ、映らんようになった・・・。」
”コラ!壊すなってあれだけ言ったじゃろ・・・お、電池切れじゃ。すまんすまん。入れ替えて来ないと。お、しかもそろそろ他の所もいかんと今日のノルマが達成できん・・・。ほんじゃ、お達者で〜。あ、そうそう家族・親族の為の風船は緑じゃから・・・。ホーホッホッホー。”
アキラ「ということは・・・・・・!?お、おい!待てって!!おい!」(つづく)

第54回(2/12) 〜赤いチョコレート 後編〜   毎週月曜更新-前回-

なみ「もう、なにさっきから1人でブツブツいってるの?」
アキラ「い、いや、あいがな赤い風船2つ持っとったんや・・・。しかも、チョコの神様は行ってもうたし何が何かわけわからん・・・。」
なみ「わけがわからのはそっち!まったく・・・。そうそう、チョコの試作ができたんだ!味見してくれない?おさむも呼ばなくちゃね・・・・。おーい、おさむ!」
アキラ「・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・St.ValentineDay・・・・
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なみ「はい、アキラとおさむに。」
おさむ「毎年毎年ありがとう。なみちゃんのチョコだけが唯一の救いなんだ。じゃあ、さっそくいただきまーす。」
なみ「あら、アキラ・・。元気ないね?どうかしたの?」
アキラ「いや・・・別に・・・」
・・・ピンポーン・・・
なみ「あ、あいが来たみたいね。どうぞ〜上がって〜。」
あい「お邪魔しまーす。キャーなみちゃん久しぶり〜。元気ですか〜?」
なみ「久しぶりー。元気が有り余ってるんだよね。」
アキラ「やから、いつもうるさいんや。まあええわそんなこと。ヨッ!あいチョコ待ってました!」
あい「はい、チョコレート、おさむくん。」
アキラ「な、なに!なんでおいらより先なんや!」
おさむ「うわーありがとう、あいちゃん。あいちゃんからもらうの初めてだね。今年は2つももらっちゃった・・・新記録だよ(笑)。」
あい「え?いつもアキラくんに言付けてるわよ・・・・。あっ、もしかして!」
アキラ「ギクッ・・・。あ、あれ・・・おいらの分やと思って・・・・。、」
なみ「さいて〜」
あい「じゃあ、そういうことで、今年はなしでいいよね・・・。」
アキラ「ご、ご、ごめんなさい!もうしません。誓います!ホントに・・・」
あい「どうなんだかね・・・はい、チョコ。」
アキラ「あ、ありがとうございます・・・うん?なんかおさむのに比べてえらいちっちゃいな・・・。」
あい「あら、そう?そんなこと気にしない気にしない。」
アキラ「も、もしかして!!」
あい「な〜に?」
アキラ「い、いや、なんでもない・・・。(まさか、あいの奴おさむに気が・・・。い、いやそんなはずわない。このおいらがおさむごときに負けるはずがない。そりゃ、そうや・・・)。ガハハハハハハハハ!」
なみ「何急に笑い出して・・・今日のアキラちょっとやばい・・・。」
あい「変なの・・・。じゃあ、あいちょっと用事があるからカエルね。」
なみ「え、もう帰っちゃうの??」
あい「うん、ごめんね、なみちゃん。またゆっくり遊びにくるから。おさむくんもバイバイ。」
なみ「う、うん・・・じゃあ、気を付けてね・・・。ほら、アキラあいを送って上げて。」
あい「いいよ、いいよ。そんなの悪いし・・・。」
アキラ「ほら、本人もそう言うとうことやしな。」
あい「じゃあまたね〜」
・・・ガチャン・・・
なみ「もう、なにしてるの?早く行って上げなくちゃ。きっとアキラのことを待ってるよ。」
アキラ「ヘイヘイ・・・ほな行ってくるわ・・・・」
・・・ガチャン・・・
アキラ「誰が、送るかいな・・・尾行するんや、なみのばーか。しかし、そんな急にカエルなんて怪しいな〜・・・。どこにいっきょんやろ・・・。まあ、あいの奴に限って他に好きな奴がおるとは考えにくい・・・。でも、人生に絶対はない。おいらの連れでもまさかと思う奴が2股してたしな・・・。このご時勢、2人くらい恋人がおるんが普通なんやろか・・・。そやな・・・最近おいら優しなかったしな・・・あいも他に好きな奴ができてもおかしないわな・・・。受け入れ先を見つけといて、突然別れようとゆうこんたんか・・そういや昔そんなことがようあったな・・・・・。コラ!弱気になるな!アキラ!おまえよりええ男なんてなかなかおらへんぞ。そやな。そやそや。おいらとしたことがあのわけのわからんチョコの神様とやらに踊らされとるんや。そ、そうか、全てが読めた!ガハハハハハハ!・・・お、おっとあいに気付かれよった、危ない危ない・・・。しかし、どこまで行くんや。かれこれ、20分は歩いてるぞ・・・、お、なんや、あの建物に入ったぞ。急げ・・・。うん?・・・寺かいな??ま、まさかあいの奴、坊主でも好きなんやろうか!?まさかな、あんなハゲ坊主なんかええわけあらへん。うわ〜それにしても、ここでかいな〜。おいららの家の100倍くらいでかいな・・・。でかいなー・・・ウオッ!あのおなごもかわいいな・・・。寺もなかなかええところや・・。し、しまった、思わず見とれとったらあいを見失ってもうた。」
・・・オタオタ・・・
坊主「ここの者ですが、どうかされました?」
アキラ「い、いや友達を捜し・・・うん?お前ほんまに坊主か!なんや、茶髪にロンゲやないか!」
坊主「もう、古いな〜。名前は坊主ですけど、いまの坊主は結構ファッショナブルなんですよ。寺も不況ですから、ドンドン古いしきたりを改正していかないと。」
アキラ「えらいご時勢やな。うん!?ということは、お前か!あいの好きな奴は!」
坊主「ああ、あいさんのことですか。毎年この日には必ずチョコを持って来るんですよ。」
アキラ「や、やっぱり、お前か・・・。いや、お前とは失礼・・・。君ならおいらと違って現代風やし、あいもきっと満足してる。ふつつかな奴やけど、よろしくお願いしやす。」
坊主「うん?何のことかよくわからないですけど、今日はあいさんが以前飼っておられた犬の命日なんです。」
アキラ「えっ・・」
坊主「もうだいぶ前になりますが・・・・あいさん犬を飼われてまして。生まれたときからずっと大切に大切に育てて、お風呂に入るのも、テレビを見るのも何するにも一緒、それほど仲がよかったのでしょうね。そんなある日、チョコの材料を買い忘れたからって、いつものように愛犬と買い物に行かれたんですよ。ところが、急いでたせいか、猛突進のトラックに気付かなくて・・・・・・。トラックの前はグシャグシャ、でも、奇跡的にあいさんは無傷だったんですよ。」
アキラ「・・・・・ということは・・・・」
坊主「そう・・・犬があいさんをかばってくれたんです。でね、犬も初めは元気だったんですよ。これは本当に奇跡としかいいようがないって、周りのカエル達もその犬を褒めて、あいさんもさらにかわいがるようになったんです・・・。けど・・・2.14の朝、突然死んじゃったんです・・・。やっぱり事故の時にどこか打ってたんでしょうね・・・。本当にお気の毒です・・・・・。それから、もう5、6年になるのでしょうか・・・。毎年こうして来られてます。チョコレートをお供えに・・・。」
アキラ「グス・・グス・・・そうなんか・・・グス・・・なんでおいらに一言もいわへんねん・・・グス・・・。」
坊主「あいさん、こんなことも言われてました。バレンタインデーは楽しい日だし、他のカエル達にとってはお祭りであって欲しいから・・・と。」
アキラ「ウワ〜ン・・・・・。ウワ〜ン・・・。」
坊主「優しいお方です・・・。あいさん、あちらにいらっしゃいますのでご案内します。」
アキラ「ええんや、ええんや、おいらの事はなんも言わんとてな。世話になったな坊主・・・・・・・いや、もはやこの名前はふさわしくないな・・・・・。ふぅ・・・・おいらは何をしとるんや・・・・・・帰ってチョコでも食うか・・・・・・・・・。」
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Happy Valentine!
Dear アキラくん
この赤いチョコはチョコの神様が2人の仲
をもっと×2良くしてくれるんだよ。
これからもあいの事をよろしくお願いします。
Happy Valentine...
          From あい
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(つづく)

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