第88回(10/22) 〜携帯メール 1〜   毎週月曜夜更新

アキラ「ギャッ!!」
おさむ「ど、どうしたの!?」
アキラ「や、やってもた・・・。け、け、携帯の請求が2万円の大台に乗ってもおた・・アワワワワ・・・。」
おさむ「2万円・・・それはすごいね〜。」
アキラ「なんや、人ごとみたいに・・・。あ〜いたたたたた・・今月金ないのに・・・。やっぱメル友があかんのやろうか・・・。」
なみ「まだそんなことしてるの?でも、携帯のメールなんて1通0.3円とかでしょ。」
アキラ「ま、まあ、そうやけどな・・・。チリも積もれば山なんや・・・。やっぱ12匹の女の子とメールするんわきついな・・・。」
なみ「12匹!!バッカじゃないの!初めなんて”おいらには携帯なんか必要ないんや〜”って言ってたのにいまじゃ一番の使い手になってるじゃない。」
アキラ「グッ・・・そ、そんな事もあったような・・・。やけどな、仕方ないんや・・・。携帯はおいらとみんなとをつなぐ大切なもんなんや。」
なみ「つなぐ・・・?今は、つながれてるって感じだね!電波につながれるかわいそうなカエルじゃない!」
アキラ「お、おい、おさむ・・・今日のなみ・・なんか激しいな・・・。」
おさむ「う、うん・・・な、なんでもダイエットのためあんまり食べてないんだって・・・。」
アキラ「なるほどな・・・。やっぱ女には食べ物与えとかなうるさいからな・・・。」
なみ「コラ!何2匹でブツブツ言ってるの!?いい、メル友は全然否定しないけど限度っていうものがあるでしょ。そんなにいっぱいのメールしてたら、そっちに気ばかりいって1人の時間がなくなっちゃうじゃない。本読んでても、テレビ見てても、トイレに行っても落ち着かないじゃない。そうでしょ?」
アキラ「は、はい・・・その通りです・・・。」
なみ「全く・・・そりゃ気晴らしにくらいだったらいいと思うけど、生活習慣になったら落ちていく一方よ。一時は楽しいかもしれないけど、そんなために生きてるの!」
アキラ「い、いえ・・・。」
なみ「そうでしょ。もっといっぱいの事を勉強して、いっぱいのカエル出会ってもっと自分を高めていかなきゃ!メールばっかりしてても、素敵なカエルとは巡り会わないんだから!」
アキラ「は、はい、その通りです・・・。」
なみ「わかればよろしい。アキラはメールをするなとは言わないけど、1匹にしぼりなさい。」
アキラ「えっ・・・たった1匹!?」
なみ「なんか文句ある?」
アキラ「い、いえ・・・。で、でもなんでおいらだけなんや。」
なみ「おさむは今何匹いるの?」
おさむ「え、ええっと・・・一応・・2匹・・・かな・・・。」
なみ「じゃあ一匹に絞りなさい・・・いいわね。」
おさむ「は、はい・・・。じゃあ、次会うメル友1匹にしぼろっと・・・。」
なみ「えっ?メル友と会うの!?」(つづく)

第89回(10/29) 〜携帯メール 2〜   毎週月曜夜更新

おさむ「う、うん・・一応会おうということにはなってるんだけど・・・。」
なみ「キャー!やるじゃない、おさむ!ねぇねぇ、どんな感じの子?」
おさむ「そうだね〜・・・けっこう大人しい感じがするかな・・・文面だけじゃなんとも言えないけどね。」
なみ「そっか、そっか・・・ウフフフフフ・・・もうすぐクリスマスだしね。がんばらなくっちゃ・・・ウフフフフフ。」
おさむ「でもね・・・。」
なみ「でも・・何?」
おさむ「うん、実はもう3回ほど会おうって話があったんだけど、全部相手の都合が悪くなってキャンセルになっちゃってね・・・。」
アキラ「あ、そりゃあかんわ!イタッ!!何すんねん!」
なみ「も〜う!そうやってすぐマイナス思考にもっていかないの!それはたまたま相手の都合が悪くなっただけ。今でも相手は会おうって言ってるんでしょ。」
おさむ「そうなんだよね・・・。でもやっぱり、僕も信じていいのかどうなのか迷っちゃって・・・。」
なみ「何言ってるの。信じなきゃなーにも始まらないでしょ。万が一、いや億が一騙されたとしても、思いっきり信じてスカッと騙される方がいいでしょ。初めから疑ってちゃいけるものもいけないよ。」
アキラ「そうかな・・・。」
なみ「そうなの!!大丈夫大丈夫!!」
おさむ「後ね・・気になるのが・・・」
なみ「ふむふむ・・・。」
おさむ「毎日決まって朝の11時と夜の9時にメールが入って来るんだ・・・。」
なみ「ふ〜ん・・・几帳面な子なのかしら・・・。ま、そんなことは気にするような事でもないと思うけど・・。きっと何とかなるわよ。うんうん。」
おさむ「そうなるといいんだけどね・・・。」
・・・タラララ〜ン♪・・・
なみ「あっ・・・おさむの携帯が鳴ってる・・・。今ちょうど9時・・・ホントだね・・・。で、何て何て!?」
おさむ「ええっと・・・・ええっと・・・。」
アキラ「何トロトロしてん!ちょっと貸してみ!何々・・・”おさむさん、お仕事お疲れさまです。みよは今日もヘトヘトです(*^_^*)。ええっと、急なんですが、あさっての土曜日会えませんか?今度はきっと大丈夫です。いい返事を待ってま〜す。おやすみなさい。みよより”・・・・。な、なんやこのラブラブメールは・・・。何かむかつく〜!!」
なみ「キャーー!これはひょっとするとひょっとするかも!!おさむがんばれーー!!!」
おさむ「も〜う、いつも大げさなんだから・・・。そっか、土曜日か・・・ドキドキしてきちゃった・・・・。」(つづく)

第90回(11/5) 〜携帯メール 3〜   毎週月曜夜更新

・・・土曜の昼・・・
アキラ「あわ〜・・・むにゃむにゃ・・やっぱ仕事のない日はええな〜・・・。」
なみ「あら、おはよう・・・じゃなくて、お昼よう・・・。もうすぐ1時よ。よくもそんなに寝てられるわね。」
アキラ「何が悪いねん。別にええやん。仕事ないんやから。」
なみ「誰も悪いなんて言ってないじゃない。ねぇー、おさむ。」
おさむ「そうだね・・・。」
アキラ「うん?お!そういえば今日デート日やんか。そんなええべべ着ちゃって。準備万端やな。で、何時から行くんや。え?」
おさむ「うん・・・・。」
アキラ「なんや、そんなナーバスになって。そんな緊張すんなや。そういう時は、手のひらに”蛙”って書いて飲み込むんや。」
おさむ「い、いや・・・も、もうデート終わって帰ってきたんだけど・・・。」
アキラ「あ、そうなん。そんならそうと最初っから言わんと・・・・・ええーー!!まだ、昼やぞ。日が出とるぞ!!アホか!!えーー!?」
なみ「もう、うるさいわね!」
アキラ「アホか!これが驚かずにいられるか!・・・・・・。ま、おさむ・・・。人生いろいろとある・・・。メル友の1匹や2匹や100匹くらいどってことない・・・。最後にええ嫁はんとったら勝ちや・・・。とりあえず、今夜は一杯飲もうや・・・。」
なみ「そうだね・・・。おさむは絶対いい奴なんだから、きっとすぐ素敵な彼女ができるわよ。もう、なみも今夜一杯つき合っちゃうぅ。」
おさむ「ちょ、ちょっと待った。もしかして、上手くいかなかったと思ってるの?」
アキラ「・・・・・うん・・・。」
おさむ「ちょっと待ってよ。そんな事ないってば。そりゃね、会ったのはほんの1時間半くらいだったけど、本当にいろいろな話をしたんだよ。」
アキラ「ふ〜ん・・・。」
おさむ「だから、会った時間なんて関係ないんだってば。ようは中身だよ、中身。」
アキラ「ほなら次会う約束したんか?」
おさむ「うん、したよ。」
なみ「え、やるじゃない!いついつ?」
おさむ「い、いや、それはまだ決まってないけど・・・。」
アキラ「そーやろ・・・。おさむ・・・気持ちは分からでもないが、現実を受け止めろ・・・。」
おさむ「だから・・・」
なみ「まあまあ、先の事はいいじゃない。それで、どんな子だったの?おさむのタイプだった?」
おさむ「うん、第一印象は大人しいなって感じだったんだけど、すごく趣味があってね。」
なみ「へえ〜どんな?」
おさむ「彼女すっごく本が好きでね、僕が読んだ本はもちろん、何から何まで知ってるんだ。僕も久しぶりだよ、あんなに深く話をしたのは。だから、次約束したんだよ、僕が今読んでいる本を貸して上げるってね。もちろん、彼女も僕に一杯貸したい本があるからって・・・。」
なみ「そうなんだ〜♪じゃあ、まだまだ望みがあるじゃない!」
おさむ「い、いや・・・だから、初めからそう言ってるじゃない・・・。」
なみ「・・・・も〜う、なみはいつもおさむが上手くいくって信じてるんだから。」
おさむ「・・・・・・・」
アキラ「よっしゃ!ほなら、上手くいかんに3000円!」
なみ「もう!失礼でしょ。そんな事を賭事に使っちゃ!ね、おさむ。」
おさむ「いつもの事だよ・・・。慣れた。」
なみ「も〜う・・・。」
アキラ「どないするんや、なみ。」
なみ「わかった、なみはおさむを信じているから・・・・3000円・・・。は、ちょっと高すぎない・・・。」
おさむ「な、なみちゃん・・・」
なみ「ええい!上手くいくに、3000円!!」(つづく)

第90回(11/12) 〜携帯メール 4〜   毎週月曜夜更新

おさむ「なみちゃん・・・はい・・これ・・・。」
なみ「何??うん?何のお金?」
おさむ「この前、僕がメル友と上手くいくかどうかでアキラと賭けてたでしょ。どうやらアキラの勝ちっぽいから、負け金は僕が払うよ・・・ここに3000円あるから・・・。。」
なみ「えっ?・・・・。ちょ、ちょっと待ってよ。え、彼女からなにか連絡あったの?」
おさむ「いや・・・・。あのデートの日からぷっつり連絡が来なくなっちゃって・・・。」
なみ「えっ・・・だってあんなに趣味が合うって・・・・・。」
おさむ「うん・・・・・でも・・・・・。」
なみ「・・・・・・・・。そう・・・わかったわ・・・・。でも、これは受け取れないよ・・・・。そ、そうだ、今晩まどかさんのバーに飲みに行かない?そこでパーっとやろうよ。ね、そうしよ。」
おさむ「・・・・・うん・・・・。」
なみ「もう、そんなに落ち込まないでさ。」
・・・タラランタララン♪・・・
なみ「あれ?おさむの携帯鳴ってるよ。」
おさむ「あ、うん・・・。いつもの迷惑メールだよ・・・。」
なみ「そうなんだ・・・。じゃあ、いつもは迷惑かも知れないけど、今回は試しに登録してみない?もしかしたら、素敵なガールフレンドが見つかるかもよ!」
おさむ「もういいよ・・・。どうせさ・・・。」
なみ「コラ!そんな弱気にならないの!ええい!男だったらメソメソするなー!いつでも前向きにいかなきゃ。こうなったらなみが登録してやる。ええっと、あれ?このメッセージ何か変だよ?」
おさむ「どれ?えっ!!!」
・・・ダダダダダダダ・・・
なみ「おさむ!どこに行くの!!あ〜行っちゃった・・・。」
・・・夜12時・・・
アキラ「それにしてもおさむ遅いな・・・。飛び出して行くとき何も言わんかったんか?」
なみ「うん、おさむにしては珍しいわよ。急に真剣な表情になって、風のように出て行っちゃうんだもん・・・。」
アキラ「ほんまにどこに行ったんやろな・・・。ま、こうやって噂してたら・・・。」
・・・ガララララララ・・・
アキラ「ホラ来た!!」
なみ「もう、おさむ遅いよ・・・。」
アキラ「おい、どこに行っとたんや?また、メル友と会ってたんか?えー?そうやろ。でも、つき合わんかったらおいらの勝ちやからな。つき合うやぞ・・・。おい、何とか言えや・・・。」
おさむ「・・・・・ごめん・・・・今は、一匹にしておいて・・・。後で全部話すから・・・。」
・・・ダダダダダ・・・
なみ「おさむ・・・・・・。」
アキラ「ありゃ、間違いなく振られたな・・・・。ま、しゃーないから明日残念パーティでもするか・・・。」
なみ「・・・・・・・・」
・・・次の日・・・
おさむ「おはよう・・・ちょっと散歩に行ってくるね・・・。今日は仕事休むから・・・。」
・・・ダダダダダ・・・
なみ「え、ちょ、ちょっと・・・。はあ・・・・仕方ないか・・・。さて、朝ご飯の準備しなきゃ・・・。」
・・・ピンポーン・・・
なみ「はーい・・・もう、忙しいな・・・。」
・・・ダダダダダ・・・
なみ「すいませ〜ん、占いの準備はもう少し掛かりますので・・・。」
メル友の母「あの・・・おさむさんいらっしゃいますか?」
なみ「おさむ?あ、ごめんなさい・・・。おさむは今日は体調がすぐれなくて休暇を取っています・・・。」
メル友の母「そうですか・・・。それでは、昨日は本当にありがとうございましたということを言付けておいて下さい。それとこの携帯をおさむさんに・・・。」
なみ「え?昨日?あ、昨日おさむが何かお世話になったのですか?おさむ・・・何も言わなかったから・・・。」
メル友の母「そうですか・・・。そうですよね・・・。実は・・・娘のゆかの事なんですけどね・・・3日前に亡くなってしまったんです。あ、ごめんなさいね、朝からこんな暗い話題出して。」 なみ「えっ・・・・・。」
メル友の母「昔から体が弱く、お医者さんが言うには、20年間生きてこれたのが奇跡だったらしいんです。特にこの3ヶ月はずっと危ない状態でして・・・。でも、驚く程の生命力で、一時は本当に回復したんですけど・・・。でも・・・。」
なみ「・・・・・・・」
メル友の母「それで、亡くなった後、娘の遺留品を片づけていると、ふと携帯が目に入って・・・。そしたら、とても楽しいそうにおさむさんとメッセージのやりとりがあって。携帯の使用は院内では禁止されていたから、いつもこっそりとしていたんでしょうね。きっとおさむさんとのメッセージが何よりの薬だったのでしょうか・・・。だから、おさむさんには本当に感謝しています。娘も幸せだったと思います・・・。もしかしたら、ご迷惑かと思ったのですが、この携帯はおさむさんに預けるのが一番かと思いまして、お訪ねしたのですが・・・・。」
なみ「ぐす・・・わかりました・・・。必ずおさむにお渡しします。本当に何と言ってよいかわかりませんが・・・・。」
メル友の母「いえいえ・・・突然お邪魔して申し訳ございませんでした・・・。それでは・・・。」
なみ「ぐす・・・・」
アキラ「おい、飯まだか!うん?どーしたんや?なみ?」
なみ「よーし、今日は仕事はお休み!今日はパーッと遊びに行くわよ!!さて、おさむを探しに行かなくちゃ!」
アキラ「はあ?」
なみ「一杯遊んで楽しむこと・・・それが生きている者の義務なんだから・・。」(つづく)

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