第118回(8/19) 〜 憧れの人 前編〜   毎週月曜夜更新

なみ「そこそこそこ!!!ぎゃーーー!!」
あおい「なみさん、ちょっとは我慢して下さいよ〜。」
なみ「ごめんごめん。とっても気持ちいいんだけどね、そこだけは痛いの。」
あおい「ここですか??グリグリ。」
なみ「ギャッーー!!ギブギブ!」
あおい「う〜ん、ここのツボを押して痛いってことは、確か・・胃が弱ってるんです。」
なみ「そうなの。最近夏バテで食事が喉を通らなくて・・・。」
あおい「わかりました・・・。じゃあ、食欲の出るツボを押しておきますね。」
なみ「ありがと〜。あ〜気持ちいい・・・。あおいちゃん、整体師の専門学校に行って何年なるの?」
あおい「今年の4月に入ったから、半年かな。」
なみ「えっ!半年で、そんなに上手になれるの?」
あおい「えっ?そんな、まだまだですよ〜。でも、昔からパパやママの肩や腰をマッサージしてたから。人にありがとう〜って言ってもらえるのがうれしくて。」
なみ「わかるわかる。」
あおい「は〜い、終わりました。」
なみ「ありがとう〜。あ〜体が軽くなったわ。無料でしてもらっちゃって、なんだか悪いわね。」
あおい「いいえ、まだ見習いの身ですから。こっちがお金払わないといけないくらいです。」
なみ「もう、あおいちゃんったら、最高ね。かわいいし、気が利くし、なみが男なら絶対あおいちゃんをお嫁さんにするね。さぞかし、学校でももてることでしょうに。」
あおい「まさか・・・。この前だってふられちゃったんです。」
ななみ「えっ!?うそ〜?あおいちゃんをふる人ってどんな人?同じ学校の人?」
あおい「はい、同じ新入生なんですけど、一度社会に出てたから年は7つくらい上なんです。」
なみ「な、なんと、もったいない!おろかな者め。」
あおい「うふふふ。そんな事ないですよぉ。」
なみ「いつの話?」
あおい「えっと、先月の終わりかな・・・。」
なみ「えっ!最近の事じゃない!もう、あおいちゃん、なみの前はそんなにがんばらなくてもいいんだよ。悲しい時は泣けばなみ姉さんが温かく包容して上げるから。グスッ・・。」
あおい「ウフフフフ。ありがと、なみさん。でも、私実を言うとあんまり落ち込んでいないんだ。ふられるのは仕方ない事だったし。今は素敵な人と巡り会えたし、また恋がしたくなっちゃったって気分なんだ。」
なみ「へえ〜・・・。なかなかやせ我慢でもそんな事言える子は少ないよ。失恋直後に・・・。」
あおい「だから、やせ我慢でもなんでもないんだってば。もお〜。きっと彼の断り方が上手だったのかも。ウフフフフ。」
なみ「おあいちゃんに、そこまで言わせる彼とはなかなかの者ね。」
あおい「ウフフフ・・見た目はパッとしないんだけどね・・・。一度社会を経験しているせいか、ちょっと大人チックな男性に見えたんだね。」
なみ「うんうん。わかるわかる。」
あおい「初めて彼と話したのは、夏休み前の実習だったんだ・・・。」(つづく)
第119回(8/26) 〜 憧れの人 後編〜   毎週月曜夜更新   

あおい「たまたまペアになってね。今まで学んだ事を相手に試して、もっとどうしたらいいとか言い合うんだけど、彼は、言葉は短いけんだけど的確な指摘でね。今まで、私上手いかもって思ってたんだけど、全然〜。しかも、彼は私がアドバイスする所がないくらい上手でね・・・。」
なみ「へえ〜。」
あおい「尊敬できる人っていうのが第一印象だった。」
なみ「う〜ん・・・普通の女の子なら、その地点で心は傾くわね。年上で、自分が学んでいることを上手にできる人って絶対惚れちゃうもんね。」
あおい「うん、そうかも・・・。でも結局は、彼女いることわかったし、私の事であまり悩んで欲しくなかったから、自分の気持ちだけを打ち明けて、友達でいて下さいって言ったの。彼は、とても驚いてたんだけど、あおいちゃんは、俺みたいなおっさんには似合わないよ、かわいいし、頭もいいし、俺が後5歳若ければ、アタックしてたのに・・って。」
なみ「そんな年なんて関係ないのに・・・。」
あおい「私、断り言葉だとわかっていても、とってもうれしかったんだ。ふられちゃったのにね・・。」
なみ「あおいちゃん・・・・。」
あおい「でね、彼が言ってたんだけど、俺もあおいちゃんみたいな子に告白されるなんてまだまだ捨てたもんじゃないな〜って。彼はね、大学を出た後、大手企業に勤めたんだけど、帰るのがいっつも12時を回ってたの。それが1年も続いて、いつの頃からこのまま電車に飛び込めば楽だろうな〜って考えるようになったんだって。結局同僚が異変に気づいて、しばらく休んだ方がいいって、友達のマッサージ師を紹介してくれたの。そこに行った時に世界が変わったんだって。」
なみ「おお・・・。」
あおい「彼は、そのマッサージ師みたいに、体の痛みだけじゃなく、心の痛みを和らげるマッサージ師になりたいって・・・。」
なみ「う〜ん・・・大人だね〜・・・。それはあおいちゃんが惚れるのも無理ない。さすがに20歳やそこらの男にはかなわないね・・・。ねえねえ、なみにもその人紹介してよ。なみもお友達になりたくなっちゃった。」
あおい「うふふふ・・。今度機会があればつれてくるね。」
なみ「えっ?本当!?楽しみ〜!!」
あおい「なみさんにはいつもお世話になっているから。」
なみ「ありがとう〜。そっか・・・やっぱり夢を持つ男ってかっこいいわね〜。あ、もちろん女の子もだよ。あおいちゃんは今とっても輝いているよ。これからも夢を持ってあおいちゃん、がんばってね!!」(つづく)

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