第124回(9/30) 〜 発表練習 前編〜    毎週月曜夜更新  

アキラ「どないしたんや?そんな浮かん顔して?失恋でもしたんか?」
ちか「違いますってば。そっちの方はアキラさんのおかげで超ラブラブなの。悩みはね明日読書感想文を発表しなくちゃいけないんだ。うちらの国語の先生ってね、そいう発表好きでね、国語の時間の始めに、2人ずつ読書感想文を発表しなくちゃいけないの。私の番明日なんだよね。あ〜〜嫌だ〜〜。休んでも次回に延びるだけだし・・・。」
アキラ「そうやったんか。ま、気持ちはわからでもない。日本人いうんは、謙虚に控えめに目立たんのが美徳というような人種やからな。急に、発表ゆうてもそんなんできんわな。」
ちか「あ〜あ、アメリカ人に生まれればよかった。」
アキラ「あははは。そんな大げさな。そんな悩みはよう聞くけど、発表っていうのは、苦手で当たり前なんや。発表ゆうたら話す事に似てるやろ。やから、大半の人が勘違いするんや。でも実際は、発表と話すっていうんは、カエルと人間くらい違うんや!」
ちか「???」
アキラ「ま、簡単に言うとやな、発表ゆうんは一つのジャンルなんや。ゆうたらサッカーとか野球と同じ。急に強いシュート打てって言っても、ボールを遠くまで飛ばせっていっても無理やろ。なんでも練習が必要なんや。もちろん、初めからできる奴もおるかもしらん。でもな、おいらら凡人は、人前出たら緊張するやろ、やから、ちゃんと練習しとかなあかんのや。ちょこっとするのとせえへんのと全然違うで。」
ちか「そうなのかな・・・。」
アキラ「例えば、自分の部屋で1人になって、読書感想文を声に出して読んでみ。おそらく、何も思わんと読めるはずや。次は人前におるって想像しながら読んでみ。1人やのに、声が震えたりどもったりするはずや。そして、おかんや弟の前で読んでみ。どんな親しい間柄でもけっこう緊張するもんや。」
ちか「そうかも・・・。」
アキラ「どうもな、勘違いしてる奴が多い!発表が何で嫌かゆったら、人前で話すからや。人前で話すのが何で嫌かって言ったら、上手くしゃべれんからや。なんで上手くしゃべれんか言ったら、練習してないからや。練習せんと嫌や嫌やゆうてもな。」
ちか「ごめんなさい・・・。」
アキラ「あ、嫌々、別にちかちゃんが悪いわけじゃないんや。すまんすまん、ちょっと言い過ぎた。」
ちか「ううん、その通りなの。」
アキラ「おいおい何そんなしけた面してんねん。ほら、今から練習するで。」
ちか「えっ!?アキラさんつき合ってくれるの?」
アキラ「うむ。最強の発表者に仕上げたろ。ええか、どんな苦手なもんでも練習したら人並にはできるもんや。ま、おいらが仕立てるから人並み以上に育てたる。」
ちか「はい!お願いします。」

第125回(10/7) 〜 発表練習 後編〜    毎週月曜夜更新  

・・・発表練習・・・
アキラ「うむ、よし。だいぶつまらんと言えるようになったな。」
ちか「はあ〜疲れた〜〜。こんなに発表練習したことないわ。ふぅ〜。」
アキラ「言うても、まだ1時間しかたってないやろ。1時間なんて練習したうちに入らんで。部活なんて毎日何時間もしてるやろ。それに比べたら余裕余裕。」
ちか「確かにね・・・。」
アキラ「どうや、自信ついたやろ。」
ちか「う〜ん、前よりは・・・。でも、やっぱり不安だよ・・・。」
アキラ「ま、そりゃそうやわな。小1時間練習して、自信満々になられても困るわ。でもな、ある程度は自信もってええで。もうそれだけ声に出したら暗記してるやろうし、後は大きい声で発表したらええんや。声が震えるのを隠そうとして、下向いて小さい声でぼそぼそって話すと余計に声が震えるからな。背筋伸ばして正面向いて腹から声を出す。これこそ、緊張してると思われん最も良い手や。」
ちか「なるほど・・・。」
アキラ「後は、そうやな〜。おいらの一番好きな手は、ガムを噛むことなんやけどな。ガムを噛むと、緊張を和らげる副交感神経が作用して落ち着いてくるんや。」
ちか「フクコウカンシンケイ?」
アキラ「おう、緊張するとな、心臓がドクドクするやろ。あれは交感神経が働いてるんや。いつなんどき敵が襲ってきても逃げられるようにっていう原始時代からの名残やな。でも、その状態が続きすぎると、神経が参ってしまうから、副交感神経でそれを抑えるんや。ホンマようできてるわ。」
ちか「へぇ〜〜。」
アキラ「さすがに、授業中にガム食べるのは無理やから、奥歯でほっぺの内側を噛み噛みするんや。これは効く。人の前に立ってもあれ?あんまり緊張してないって思うで。おいらもガム噛まれへん時は必ずする。ま、胃に温かい物を入れとく事も効果的やな。熱いお茶とかなんでも・・・。いつまでも苦手苦手って言ってても成長せんからな。発表言うんは、別に上手くできんでもええんや。今の自分よりも一歩だけ進んだ自分になれればそれでええんや。嫌やな〜って思った時こそ、成長するチャンスやで。」
ちか「そうだね・・・。うん、私がんばってみる。別に失敗してもいいんだもんね。明日のためにがんばる自分が素敵な自分への一歩だもんね。アキラさん、ありがと。」

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